オンライン診療の変遷

平成30年(2018年) 再診でのオンライン診療がスタート

1997年(平成30年)に情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について、という通知がなされ、オンライン診療は医師法に抵触しない、という位置付けにられました。

実際のところ、ガイドラインや診療報酬設定もなく、実際には実施されることはほとんどありませんでした。

オンライン診療の本格的なスタートは2018年、厚生労働省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を策定してからです(参考: 厚生労働省オンライン診療指針)

この指針では、再診に限定してオンライン診療が認められるようになりました。

特に、慢性疾患の患者が定期的に診療を受ける場面で、通院負担を軽減できる方法として注目されました。患者の通院負担を軽減するだけでなく、医師も効率的な診療を行えるようになりました。

一方対面診療と比して診療報酬が低く、まだまだ一般化するには及びませんでした。

2020年: COVID-19による初診での特例措置

2020年になると、COVID-19の感染拡大を受けて制度が大きく変わります。

感染リスクを避けつつ自宅、ホテル療養患者に対応するため、初診であってもオンライン診療が特例的に認められるようになりました(参考: 厚生労働省特例措置)。

本措置では、患者と医療機関が事前にしっかりと情報を共有し、診療後のフォローアップが可能な体制整備、必要に応じて対面診療に移行できる仕組みが重要視されました。

一方、リスクの低い患者においてはオンライン診療の安全性と利便性の認識が強まりました。

恒久化の決定と実施時期

厚生労働省は2022年に、初診でのオンライン診療を一定の条件下で恒久化することを決定しました。

恒久化にあたり以下の要件が定められました(参考:厚生労働省 初診オンライン診療恒久化指針):

  • 初診でオンライン診療を行う場合、事前に患者の同意を得ること。
  • 軽度な病状や慢性疾患の定期管理を中心とする。
  • 医療機関がフォローアップや緊急時の対応が可能な体制を整備していること。

オンライン診療による初診が認められたことで、オンライン診療の活躍の場は飛躍的に増す一方、不適切なオンライン診療の実態もみられるようになり、より適切に実施される仕組みづくりの重要性が浮き彫りになりました。