みなさまこんにちは。一般社団法人 信州医療開発(SMI)の今井です。
私はこれまで1,000件を超えるオンライン診療を実践して参りました。
加えて看護師が患者側に同席する
D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)も実施しており、
看護師育成にも取り組んでおります。
医療法改正や地域医療維持の難しさといった時代背景を受け、
自治体の方々や地域医療維持に尽力されている皆様に向け、
定期的に情報をお届けすることにいたしました。
2040年自治体の2割で診療所が消滅
「2040年には全国の自治体の約2割で診療所がゼロになる」という、
衝撃的な予測が出されています。
この背景には、高齢化社会、医師を始めとした医療リソースの偏在、
そして働き方改革など様々な要因があります。
これまで「いつでも、どこでも対面で」というコンセプトで
支えられてきた地域医療というインフラは、
もはや限界を迎えつつあります。
そこにあって当たり前だった医療がなくなってしまう、
そんな未来がまさに目と鼻の先にきています。

こうした危機的な状況を背景に、2026年4月に施行された改正医療法は、
地域医療にとって極めて重要な転換点となります。
このままではヤバいのです。
医療も状況に合わせて柔軟に変えていかないと、
本当に「無医村」になってしまいかねません。
長野県内にも今にも医療が途絶えそうな、
綱渡り状態の地域が多くあります。
奇跡でも起こらない限り次の医師が見つからない、
そんな地域が多いのです。
急速に先細る地域医療において
実現性や持続性のある医療は、従前の医療の延長上にはありません。
皆様もそれは直感的にご理解されているはずです。
それでも動かしにくい、
この硬直性が医療業界の特徴でもあります。
医療法改正に伴い、
・オンライン診療の明確化
・オンライン診療受診施設の新たな定義づけ
がなされました。
医療法改正がもたらした「定義」の重み
今回の改正の最も大きなポイントは、
オンライン診療が医療法の中に「医療提供の正規の形態」として明確に位置付けられた
ことです。
これまでのオンライン診療は、
1997年の行政通知に基づく「法解釈」の範囲で運用されてきました。
いわば「制度の隙間」を縫うように行われてきたのが実態です。
そのため、保守的な立場からは「前例がない」「法的根拠が曖昧」「安全性が」「個人情報が」
という懸念が上がりやすく、
自治体が本腰を入れて導入するための障壁になっていた側面があります。
現場においても問題が頻発してきました。
本来想定されていないオンライン診療と、地域医療の現場において、
制度・診療報酬面での齟齬が生じてしまっています。
しかし、今回の改正によってオンライン診療は、
改正後の医療法第1条の2等において、
情報通信機器を用いた診療が医療提供体制の重要な柱として位置付けられました。
これは国が、
「オンライン診療はもはや補助的な手段ではなく、対面診療と補完し合うことで地域医療を維持するための不可欠なインフラである」
と正式に認めたことを意味します。
もはや「時期尚早」という言葉で先送りにできるフェーズは終わりました。
また、関連して「巡回診療」の取扱いも明確化されました。
これまで頻回の提出が求められていた実施計画等の事務負担が簡素化され、
移動診療車などを用いた柔軟な医療提供が、制度面から強く後押しされる形となっています。
座して死を待つ?持続可能な医療モデル構築の時
もちろん、 制度が整ったからといって、
地域の医療が自動的に充実するわけではありません。
全国的に時間外外来などを中心に
首都圏の事業者に委託するモデルが増えつつあります。
これは短期的にはスマホ世代患者の利便性を高め、
既存医療を補完するという一定の効果があります。
しかし、このモデルでは地域のお金(委託費、診療報酬)は都市部へ流出し、
地域にオンライン診療の人材やノウハウは蓄積されず、
地元の医療機関との連携も希薄になりがちです。
これでは地域の医療資源が醸成されず、
特にへき地や離島においては機能しません。
国が医療法を改正してまで示した「お墨付き」は、
地域の実情に合わせて、
いかに「地元の医療資源」と「デジタル」を融合させ、地域内で医療を完結させるか
という、自治体側の設計能力がこれまで以上に問われるようになったのです。
私たち地域の現場に身を置く人間が、特性を理解した上でこのルールを使いこなす
ことができれば、必ず持続可能な医療モデルを構築できます。
やらない理由探し、変わらない決断は簡単ですが、
それはすなわち「座して死を待つ」選択です。
いつ、誰がその一歩を踏み出すのか。
まさに、今こそがその時ではないでしょうか。
以降の記事では、
- この改正に伴い重要度が増した「オンライン診療受診施設」の考え方と実際
- 現場のモチベーションに直結する「診療報酬体系」の大きな変化
- オンライン診療や地域医療にまつわるトピックの解説と私見
をお送りしてまいります。
【最後に】
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
今後、皆様の現場での悩みや、詳しく解説してほしいトピックを募集しています。 以下のフォームより、一言キーワードだけでも構いませんのでお気軽にお寄せください!
[取り上げてほしいトピック受付フォームへのリンク]
【参考】
- 2040年頃に65歳以上人口のピークが到来:新たな地域医療構想等について(厚労省)
- 医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)および施行通知(令和8年3月27日 医政発0327第5号)
- 情報通信機器を用いた診療(いわゆるオンライン診療)について(1997年通知およびその後の変遷)
- 巡回診療の医療法上の取り扱いについて(改正通知 令和8年3月27日 医政発0327第6号)
【オンライン診療や医療再構築に関するお問合せ】
メール:simai@smi-nagano.jp
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